Hさんは、これまで大腸のポリープを切除した程度で、大病をしたことはない。脳についても30代に1度、健康診断の一環として脳ドックで検査を受け、異常なしと診断された。今回も、年齢が50代半ばだし、健康保険組合から補助が出るということもあって、軽い気持ちでM病院の脳ドックの検査を受けた。ところが、その結果が出るや、Hさんをめぐる状況は暗転した。
「MRIで検査したら、『2ヵ所に脳動脈瘤がある疑いあり』というのです。全く予想外のことでしたから、びっくりしました」
同じ病院で、その後さらに二度検査を受けた。一度目は脳ドックのそれと同じ結果だった。しかし、二度目は脳動脈瘤が2ヵ所というのは間違いで、それ以外の部位に1ヵ所発生しているとの診断。「その場所は、左目の目頭の奥にある、左内頚(ひだりないけい)動脈と後交通(うしろこうつう)動脈分岐部の間で、直径4~5ミリの脳動脈瘤が1ヵ所できているということでした」
「その前2回の検査結果とまるで違うというのも腑に落ちませんでした。が、それ以上に戸惑ったのは、手術をするように迫られたことです。『このような場合、ふつう手術をします。予約をどうしますか』と、まるで手術をするのが当然といわんばかりでした」
不信感を抱いたHさんは、自分で探した他の医師の診察を仰いだ。比較的高名な医師である。M病院で検査した時の写真を見せると、脳動脈瘤の大きさが分らないとのことでMRAを受けたが、医師とのその後のやり取りは不安が残るものであった。手術の適応に関する見解が、話をしている途中で変わったからである。
そこで、Hさんは、会員であれば無料で医師照会を受けられる、ベストドクターズ・サービスを利用することにした。早速、ベストドクターズのコールセンターに連絡を取りオペレーターに先の事情を説明すると、別の病院の医師を照会された。
その医師を受診すると、脳動脈瘤の直径および部位が、自分で探してかかった二人目の医師と同じであるとの診断であった。
「ベストドクターズで照会していただいた先生には、とても感謝をしています。的確に診断してくれて、しかも手術を無理強いすることもありません。さらに確定のために、再検査の予定です。脳動脈瘤が5ミリを超えていないことを祈りたいですね」
問題は血圧で、最大血圧150で最小血圧が100と高めだった。ベストドクターズ照会の医師にそれを告げたら、「血圧が高いのはまずい。最寄りの病院で診察を受け、降圧剤を処方してもらいなさい」といわれた。それ以来、降圧剤を飲んでいて、血圧は最大が130~140、が80~120と少し下がっている。
「これは、どんな先生にも言われてきたことですが、脳動脈瘤があれば、破裂の危険性が1年ごとに1%ずつ上がるというのです。私はいま55歳だから、例えば85歳になれば破裂のリスクが30%上がる計算です。破裂すれば、3分の1は即死だそうです。クルマを運転中に破裂したらと考えると、ぞっとします」
「ただ、この間、救いだったのは、ベストドクターズのオペレーターですね。電話をすると、他のオペレーターでも私のことを知っていてくれて、嬉しかったですよ。とても心強い。それにベストドクターズの照会で診察を受けた病院の受付にしても、私のことを知って貰っている雰囲気で、感じがよかったです。」
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